仮想通貨 税制改正!申告分離課税とは?2025年最新版

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2025/04/25

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1. 仮想通貨の税制改正の現状

現在、日本における個人の仮想通貨(暗号資産)取引によって生じた利益は、原則として「雑所得」に分類され、「総合課税」の対象となっています。これは、給与所得など他の所得と合算した総所得金額に応じて税率が決まる累進課税制度であり、所得税と住民税を合わせると最大で55%の税率が適用される可能性があります。詳しくは国税庁の資料「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)」をご参照ください。

しかし、この現行の税制に対しては、投資家や関連事業者から「税負担が重い」「計算が複雑」「他の金融商品との公平性に欠ける」といった指摘がなされており、税制改正を求める声が高まっています。特に、株式投資やFX(店頭外国為替証拠金取引)のように、他の所得と分離して一定の税率で課税される「申告分離課税」への移行が強く要望されています。

Web3(ウェブスリー)産業の国際競争力確保や、個人投資家が安心して仮想通貨取引を行える環境整備の観点からも、税制改正は重要な課題として認識され、活発な議論が続いています。

1.1 2025年最新情報!改正の要望内容と想定される影響

2025年(令和7年)の税制改正に向けて、仮想通貨に関する税制の見直しが期待されています。ただし、2024年6月現在、具体的な改正内容が決定したわけではありません。現時点では、業界団体などを中心に以下のような内容を含む税制改正要望が出されています。

主な要望内容は、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)や日本ブロックチェーン協会(JBA)などが提出した「令和6年度税制改正に関する要望書」などで確認できます。これらの要望が実現した場合、仮想通貨投資を取り巻く環境は大きく変化する可能性があります。

ここでは、現在議論されている主要な改正要望項目と、それが実現した場合に想定される影響について解説します。

1.1.1 分離課税とは?

「申告分離課税」とは、特定の所得を他の所得(給与所得や事業所得など)とは合算せず、分離して税額を計算し、確定申告によって納税する課税方式です。現在の仮想通貨の税制である「総合課税」が、様々な所得を合算した金額に対して累進税率(所得が多いほど税率が高くなる)を適用するのに対し、申告分離課税では多くの場合、所得額にかかわらず一定の税率が適用されます。

例えば、株式等の譲渡所得やFXの利益は申告分離課税の対象であり、所得税15%、住民税5%、そして復興特別所得税0.315%(所得税額の2.1%)を合わせた一律20.315%の税率が適用されています。

仮想通貨取引の利益についても、同様に申告分離課税(税率20%程度)の対象とすることが、税制改正要望の大きな柱となっています。これにより、税負担の予測可能性が高まり、投資判断がしやすくなることが期待されます。

1.1.2 改正が実現した場合に想定されるメリット・デメリット

もし仮想通貨取引への申告分離課税導入や損失繰越控除の適用といった税制改正が実現した場合、投資家には以下のようなメリットとデメリットが考えられます。ただし、これらはあくまで現時点での要望内容に基づいた想定であり、実際の改正内容によって影響は異なります。

区分 想定される内容
メリット
  • 税負担の軽減(特に高所得者層):所得額にかかわらず税率が一律(例:20.315%)になれば、現行の総合課税(最大55%)と比較して、所得が多い投資家ほど税負担が大幅に軽減される可能性があります。
  • 税金計算の簡素化:他の所得と合算する必要がなくなり、税額計算が分かりやすくなる可能性があります。
  • 損失の繰越控除:要望通り損失の繰越控除(例:3年間)が認められれば、ある年に発生した損失を翌年以降の利益と相殺できるようになり、年をまたいだリスク管理がしやすくなります。
  • 損益通算の範囲拡大:株式やFXなど、他の申告分離課税対象の金融商品との損益通算が可能になる可能性があり、ポートフォリオ全体での税負担を最適化しやすくなります。(※要望内容によります)
  • 市場の活性化:税制の明確化と負担軽減により、新規投資家の参入促進や既存投資家の取引活発化が期待され、市場全体の活性化に繋がる可能性があります。
デメリット
  • 税負担の増加(一部の低所得者層):仮想通貨取引による所得が少なく、他の所得と合算しても低い税率区分(例:5%や10%)に収まっていた場合、一律の税率(例:20.315%)が適用されると、かえって税負担が増加する可能性があります。
  • 対象範囲の限定:改正内容によっては、申告分離課税の対象となる仮想通貨の種類や取引(例:デリバティブ取引のみなど)が限定される可能性も考えられます。
  • 制度変更への対応:新しい税制への理解や、確定申告方法の変更など、投資家自身が制度変更に対応する必要があります。

このように、仮想通貨税制の改正、特に申告分離課税への移行は、多くの投資家にとってメリットが期待される一方で、一部デメリットとなりうる側面も考慮する必要があります。今後の税制改正の動向を注視していくことが重要です。

2. 仮想通貨の税金計算方法

仮想通貨(暗号資産)取引で利益が出た場合、原則として所得税の課税対象となります。ここでは、どのような取引が課税対象となり、どのように所得を計算するのか、その具体的な方法と必要経費について詳しく解説します。

2.1 各種取引の課税対象

仮想通貨に関する所得が発生する主なケースは以下の通りです。これらの取引によって得た利益は、原則として雑所得(※)として総合課税の対象となりますが、今後の税制改正により申告分離課税へ移行する可能性が議論されています。

※事業所得等に該当する場合を除きます。

2.1.1 売却益

保有している仮想通貨を売却して日本円に換金した場合、その売却によって得た利益(所得)が課税対象となります。計算式は以下の通りです。

所得金額 = 売却価額 - 仮想通貨の取得価額 - 売却にかかった手数料等

例えば、1BTCを100万円で購入し、その後300万円で売却した場合(手数料は考慮しない)、差額の200万円が所得となります。

2.1.2 レンディング

仮想通貨を第三者に貸し付け、その対価として仮想通貨(利息・賃借料)を受け取るレンディングも課税対象です。利息として仮想通貨を受け取った時点での時価が所得金額として認識されます。

受け取った仮想通貨は、その時点の時価で取得したものとして扱われ、将来売却する際にはその価額が取得価額となります。

2.1.3 ステーキング

特定の仮想通貨を保有し、ブロックチェーンネットワークの維持・運営に貢献することで報酬を得るステーキングも課税対象となります。ステーキング報酬として仮想通貨を受け取った時点での時価が所得金額となります。

レンディングと同様に、受け取った報酬の仮想通貨は、その時点の時価で取得したものとして扱われます。

2.2 計算方法と必要経費

仮想通貨の所得計算を正確に行うためには、取得価額の計算方法を理解し、適切に必要経費を計上することが重要です。

2.2.1 仮想通貨の取得価額の計算方法

仮想通貨の所得計算において、売却した仮想通貨の「取得価額」を正確に算出する必要があります。同じ種類の仮想通貨を複数回、異なる価格で購入した場合、どの購入価額を適用するかを決定する方法として、主に「移動平均法」と「総平均法」があります。

計算方法 概要 特徴
移動平均法 仮想通貨を購入する都度、その時点での残高と購入価額を合算し、平均単価を算出する方法。 計算が煩雑になりやすいが、売却時点ごとの損益を比較的正確に把握できる。
総平均法 1年間(1月1日~12月31日)に購入した仮想通貨の総購入金額を、同期間の総購入数量で割り、年間の平均単価を算出する方法。 計算は比較的容易だが、期末まで年間の損益が確定しない。

所得税法上、仮想通貨の評価方法は原則として移動平均法とされています。ただし、継続して適用することを条件に総平均法を選択することも可能です。総平均法を選択する場合は、事前に所轄税務署長へ「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出する必要があります。届出がない場合は、自動的に移動平均法が適用されます。

どちらの方法を選択するかによって所得金額が変わる可能性があるため、慎重に検討しましょう。計算方法の詳細については、国税庁の資料もご参照ください。

参考: 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)」 (PDF)

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2.2.2 仮想通貨取引における必要経費

仮想通貨取引によって所得を得るために直接要した費用は、必要経費として収入金額から差し引くことができます。認められる可能性のある必要経費の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 売買時に取引所や販売所に支払った取引手数料
  • 仮想通貨を送金する際に支払ったネットワーク手数料(ガス代など)
  • 仮想通貨の税金計算や確定申告を税理士に依頼した場合の費用
  • 取引に必要な情報を得るための書籍代やセミナー参加費
  • 損益計算ツールの年間利用料
  • インターネット回線費用やパソコン購入費用(事業用と私用の使用割合に応じて家事按分が必要

ただし、これらの費用がすべて無条件に経費として認められるわけではありません。あくまで「その所得を得るために直接必要であった」と客観的に証明できるものに限られます。経費として計上するためには、領収書や利用明細などの証拠書類を必ず保管しておく必要があります。

必要経費の判断基準については、国税庁のウェブサイトや税務署、税理士にご確認ください。

参考: 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」

3. 仮想通貨の確定申告

仮想通貨(暗号資産)取引によって年間を通じて一定額以上の利益(所得)を得た場合、原則として確定申告を行い、所得税を納付する必要があります。特に、給与所得や退職所得以外の所得(仮想通貨取引による所得を含む)の合計額が年間20万円を超える会社員の方や、仮想通貨取引による所得を含む各種所得の合計額から所得控除を差し引いた金額に税率を乗じて計算した税額が、配当控除額を超える個人事業主や専業主婦(夫)の方などは、確定申告が必要です。

2024年6月現在、仮想通貨取引で得た利益は、原則として「雑所得」に分類され、他の所得(給与所得など)と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となります。 将来的な税制改正により申告分離課税が導入される可能性も議論されていますが、現行制度では総合課税として申告する必要がある点に注意が必要です。

確定申告は、所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日までの期間に行うのが原則です。期限内に正確な申告と納税を完了させることが重要です。

3.1 現行制度(総合課税)における確定申告の具体的な手続き

ここでは、現行の総合課税制度に基づいた仮想通貨の確定申告手続きについて解説します。将来的に申告分離課税が導入された場合、手続きが変更される可能性があります。

3.1.1 確定申告書の書き方

仮想通貨の利益を申告する場合、確定申告書に所得の内容を記載する必要があります。主な記載項目とポイントは以下の通りです。

  • 申告書様式:所得税の確定申告書を使用します。国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで申告書を作成でき、e-Taxによる電子申告も可能です。
  • 所得の種類:「雑所得」として申告します。
  • 所得の区分:雑所得の中でも「その他」の区分に該当します。
  • 収入金額:仮想通貨の売却価額、仮想通貨による商品・サービスの購入価額、レンディングやステーキングなどで得た報酬などが該当します。取引の種類ごとに正確に集計する必要があります。
  • 必要経費:収入を得るために直接要した費用を計上できます。代表的なものに、売却した仮想通貨の取得価額(購入代金)、取引手数料、送金手数料、損益計算ツールの年間利用料などがあります。詳しくは第2章「仮想通貨の税金計算方法」をご参照ください。
  • 所得金額:収入金額から必要経費を差し引いて計算します。この所得金額を確定申告書の「雑所得(その他)」欄に記載します。
  • 計算明細書の添付:仮想通貨の所得計算に関する明細書(例:国税庁が公表している「暗号資産の計算書」など)の添付は義務ではありませんが、税務署が所得計算の根拠を確認しやすくするため、添付することが推奨されます。 年間取引報告書や損益計算ツールのアウトプットなどを基に作成しましょう。

具体的な書き方については、国税庁のウェブサイトで公開されている手引きや記載例を参考にすると良いでしょう。国税庁の「確定申告の手引き」などが参考になります。

3.1.2 必要書類

仮想通貨の確定申告を行う際には、以下の書類が必要となる場合があります。事前に準備しておきましょう。

書類の種類 内容・入手方法 備考
確定申告書 税務署、国税庁ウェブサイト、確定申告書等作成コーナーで作成 必須
本人確認書類 マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証など) 申告書提出時に提示または写しを添付
所得金額の計算根拠となる資料 取引所の年間取引報告書、損益計算ツールのアウトプット、自身で作成した計算明細書など 申告内容の根拠として非常に重要。税務調査に備え、必ず保管しておくこと。
必要経費の証明書類 取引手数料の明細、送金手数料の記録、ツールの領収書など 経費計上する場合に必要。保管義務あり。
給与所得の源泉徴収票 勤務先から交付 給与所得がある場合(原本提出不要な場合あり)
各種控除証明書 生命保険会社、医療機関、寄付先などから入手 所得控除や税額控除を受ける場合に必要

特に、仮想通貨の所得計算の根拠となる年間取引報告書や計算明細書は、税務署から提出を求められた際に速やかに提示できるよう、整理して保管しておくことが極めて重要です。

3.2 税務調査のリスクと対策

仮想通貨取引に関する税務調査は年々増加傾向にあります。無申告や過少申告が発覚した場合、本来納めるべき税金に加えて、延滞税や加算税(無申告加算税、過少申告加算税、場合によっては重加算税)といった重いペナルティが課される可能性があります。

税務署は、仮想通貨交換業者に対して顧客の取引情報を照会する権限を持っており、国外の取引所情報についても、租税条約等に基づく情報交換を通じて把握を進めています。そのため、「申告しなくてもバレないだろう」という考えは非常に危険です。

税務調査のリスクを低減し、万が一調査が入った場合にも適切に対応するためには、以下の対策が不可欠です。

  • 正確な取引記録の保存:いつ、どの仮想通貨を、いくらで、どれだけ売買したか、手数料はいくらかかったかなど、全ての取引履歴を網羅的に記録・保存しましょう。取引所のデータだけでなく、個人間取引やDeFi取引なども記録が必要です。
  • 正確な損益計算:複雑な計算(特に移動平均法や総平均法の選択、DeFi取引など)は間違いやすいため、国税庁の指針を確認したり、信頼できる損益計算ツールを活用したりして、正確な所得計算を心がけましょう。国税庁は「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を公開しています。
  • 期限内申告と納税:確定申告期間(原則翌年2月16日~3月15日)を守り、計算された税額を納期限までに納付することが基本です。
  • 専門家への相談:計算方法が分からない、取引が複雑で自信がない、申告内容に不安があるといった場合は、仮想通貨税務に詳しい税理士に相談することを強く推奨します。 専門家によるチェックは、申告誤りのリスクを大幅に低減させます。
  • 誠実な対応:万が一、税務署から問い合わせや調査の連絡があった場合は、隠蔽したりせず、誠実に対応することが重要です。保存している取引記録や計算根拠を正直に提示しましょう。

仮想通貨の税務は複雑であり、法改正や解釈の変更も起こりえます。常に最新の情報を確認し、適切な申告を心がけることが、将来的なトラブルを避けるための最善策です。

4. 仮想通貨税制改正に関するよくある質問(FAQ)

仮想通貨(暗号資産)の税制は近年注目されており、特に「申告分離課税」への移行に関する議論が活発です。ここでは、仮想通貨の税制改正、特に申告分離課税に関連するよくある質問にお答えします。

4.1 申告分離課税を選択できる条件は?

結論から申し上げますと、2024年現在、仮想通貨取引で得た所得について申告分離課税を選択することはできません。

現在の日本の税法では、仮想通貨取引による所得は、原則として「雑所得」に分類され、他の所得(給与所得や事業所得など)と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となります。これは、売却益だけでなく、仮想通貨同士の交換、マイニング、ステーキング、レンディングなどで得た利益も同様です。

ただし、仮想通貨業界団体である一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)や一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)などは、投資家がより安心して取引できる環境整備のため、毎年のように税制改正要望を提出しています。その中心的な要望の一つが、仮想通貨取引の所得を株式等と同様の「申告分離課税」(税率20%)の対象とすることです。

もし将来的に税制が改正され、申告分離課税が導入された場合、どのような条件で適用されるかは現時点では未定です。しかし、株式投資などの例を参考にすると、特定の取引方法や口座(例えばNISAのような非課税制度)が対象となる可能性などが考えられます。最新の情報については、国税庁の発表や信頼できるニュースソースを常に確認するようにしましょう。

4.2 税率はどのくらい?

現在の仮想通貨取引にかかる税率は、前述の通り総合課税の枠組みで計算されます。総合課税は、所得が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税」が採用されています。

具体的には、仮想通貨の利益を含む年間の総所得金額に応じて、以下の所得税率が適用され、これに加えて一律10%の住民税がかかります。また、所得税額に対しては復興特別所得税(2.1%)も課されます。

所得税の速算表(令和6年分以降)
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

出典: 国税庁 No.2260 所得税の税率

例えば、給与所得が500万円あり、仮想通貨取引で300万円の利益(所得)があった場合、合計800万円の所得に対して税率が計算されるため、税負担が大きくなる可能性があります。最高税率は所得税と住民税を合わせて最大55%(+復興特別所得税)にもなります。

これに対し、業界団体などが要望している申告分離課税が実現した場合、他の所得とは分離して計算され、税率は一律20%(所得税15%+住民税5%)となることが期待されています(別途、復興特別所得税がかかる可能性があります)。ただし、これもあくまで要望段階であり、2025年以降に実現するかは未定です。

4.3 損失が出た場合はどうなりますか?

仮想通貨取引で損失が発生した場合の取り扱いも、現在の総合課税(雑所得)と、要望されている申告分離課税では大きく異なります。

現在の税制(総合課税・雑所得)では、仮想通貨取引で生じた損失について、以下の不利な点があります。

  • 損益通算の制限: 仮想通貨取引の損失は、給与所得や事業所得など、他の所得区分の所得と相殺(損益通算)することができません。 ただし、同じ雑所得の内部であれば損益通算は可能です。例えば、他の仮想通貨取引で得た利益や、副業(アフィリエイト収入など、雑所得に分類されるもの)の利益とは相殺できます。
  • 繰越控除の不可: その年に相殺しきれなかった損失を、翌年以降(通常3年間)に繰り越して、将来の利益から差し引く「繰越控除」も認められていません。

これらの制約は、特に大きな損失を出してしまった場合に、税負担の軽減が図れないというデメリットがあります。

もし将来、税制改正によって申告分離課税が導入された場合、株式投資などと同様に、以下のメリットが期待されます。

  • 損益通算の範囲拡大: 同じ申告分離課税の対象となる他の金融商品(上場株式や投資信託など)の利益と損益通算できる可能性があります。
  • 繰越控除の適用: その年の損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の仮想通貨取引や他の申告分離課税対象の利益と相殺できる可能性があります。

損益通算や繰越控除が可能になれば、投資家はよりリスク管理をしやすくなり、長期的な視点での投資が促進されると考えられます。しかし、これも現時点では要望であり、実現は確約されていません。 仮想通貨の税務に関する最新情報は、国税庁のウェブサイトなどで確認することが重要です。

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5. 仮想通貨税制改正に役立つツールとサービス

仮想通貨の税金計算や確定申告は、取引履歴の複雑さから非常に手間がかかる作業です。特に、複数の取引所を利用している場合や、海外取引所、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)取引などを行っている場合、手作業での計算は困難を極め、計算ミスも起こりやすくなります。このような複雑な計算や申告手続きをサポートしてくれる便利なツールやサービスが存在します。 これらを活用することで、時間と労力を大幅に削減し、正確な申告を行うことが可能になります。

5.1 税金計算ツール

仮想通貨の損益計算を自動化してくれるツールは、確定申告準備の強力な味方です。これらのツールは、主要な国内・海外取引所やブロックチェーンとのAPI連携や取引履歴ファイルのアップロードに対応しており、煩雑な計算作業を大幅に効率化します。

主なメリットは以下の通りです。

  • 取引履歴を取り込むだけで自動的に損益計算(総平均法・移動平均法に対応)
  • 多数の取引所・コイン・トークンに対応
  • DeFiやステーキング、レンディングなどの損益計算に対応しているツールもある
  • 計算ミスを防ぎ、正確な申告をサポート
  • 確定申告ソフトとの連携機能を持つツールもある

日本国内でよく利用されている代表的な仮想通貨の税金計算ツールには、以下のようなものがあります。

ツール名 特徴 料金体系(目安) 公式サイト
CRYPTO X(クリプトエックス) 国内外の幅広い取引所、DeFi取引にも対応。詳細なポートフォリオ管理機能も充実。他のツールで対応していない振興チェーンにも対応。料金も安い。おすすめ。 無料プランあり、有料プラン(年額) クリプトエックス
Gtax(ジータックス) 国内サービスで、対応取引所・コイン数が豊富。法人向けのサービスも展開。クリプトエックスと比べると料金が高い。 無料プランあり、有料プラン(年額) Gtax
Koinly(コイナリー) 海外発のツールだが日本語に対応。海外取引所やブロックチェーンに対応している。日本の税制に追いついているか不透明。また日本向けに作られていないので多少不便がある。 無料プランあり、有料プラン(取引数に応じた年額) Koinly

ツールの選定にあたっては、ご自身の取引状況(利用取引所、取引の種類、取引回数など)に対応しているか、料金体系、サポート体制などを比較検討することが重要です。多くのツールで無料プランやお試し期間が提供されているため、実際に試してみることをお勧めします。

5.2 確定申告代行サービス

「税金計算ツールを使っても、最終的な申告書の作成や提出に不安がある」「複雑な取引が多くて自分では対応しきれない」「忙しくて確定申告に時間を割けない」といった場合には、仮想通貨に詳しい税理士に確定申告を代行してもらうという選択肢があります。

税理士に依頼する主なメリットは以下の通りです。

  • 仮想通貨税務に関する専門知識に基づいた正確な申告
  • 複雑な取引(DeFi、NFT、海外取引など)への対応
  • 節税に関するアドバイスを受けられる可能性がある
  • 税務調査が入った場合の対応を任せられる安心感
  • 申告にかかる時間と手間を大幅に削減できる

ただし、すべての税理士が仮想通貨の税務に精通しているわけではありません。 仮想通貨の税務は特殊な論点も多いため、依頼する際は以下の点を確認することをおすすめします。

  • 仮想通貨の確定申告実績が豊富か
  • 利用している取引所や取引の種類(DeFi、NFTなど)に対応可能か
  • 料金体系が明確であるか(顧問契約かスポット依頼かなど)
  • コミュニケーションが円滑にとれるか

仮想通貨に強い税理士を探すには、以下のような方法があります。

  • 税理士紹介サービスを利用する: 税理士ドットコムやfreee税理士検索などのプラットフォームでは、仮想通貨に強い税理士を検索・比較できます。
  • 税金計算ツール提供会社の紹介サービスを利用する: GtaxやCryptactなどは、提携している仮想通貨専門の税理士を紹介するサービスを提供している場合があります。
  • 知人やコミュニティからの紹介: 仮想通貨投資を行っている知人やオンラインコミュニティなどで、評判の良い税理士の情報を得ることも有効です。

税理士への依頼費用は、取引の複雑さや量によって大きく異なります。複数の税理士事務所に見積もりを依頼し、サービス内容と費用を比較検討することが賢明です。

税金計算ツールや確定申告代行サービスをうまく活用し、来る仮想通貨の税制改正や毎年の確定申告に備えましょう。

6. まとめ

仮想通貨の税制改正、特に申告分離課税への移行は、多くの投資家が注目する重要なテーマです。2024年現在、法改正は実現していませんが、今後の動向次第では税負担軽減のメリットも期待されます。しかし、現状では総合課税が適用されるため、売却益やレンディング、ステーキング等の損益を正確に把握し、適切な確定申告を行うことが不可欠です。複雑な計算には税金計算ツールや税理士などの専門家を活用し、常に最新情報を確認して正しく納税しましょう。

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